 ■ 保管上の留意点
化粧ばり集成材、カウンター集成材等は二重包装するなどしてお届けしておりますが、保管の仕方によっては吸湿による反りや木口の膨れなどが生じることがあります。保管するにあたり次の点に注意してください。
(1) |
風雨に晒される場所、直射日光があたる場所は避けてください。施工場所の地面に直接置いたり、直射日光のあたる場所に置くと水分湿気を吸って膨らんだり、片面だけが乾燥して反ったりすることがあります。できるだけ室内でパレットや敷棒などの上に水平にして保管してください。 |
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(2) |
開梱したまま長時間放置しないでください。開梱後はできるだけ速やかに施工することをお勧めします。 |
■ 施工上の留意点
施工前に木材の特性を知る
(1)木材の寸法変化
木材が乾燥すると幅、厚みともに小さくなります。またその収縮率は図で示したとおり接線方面(円周方面)と半径方面(放射方面)とでは著しく異なり、板目板では幅反りが生じたりします。
日本の気候は四季があり、湿度も異なりますので木材の含水率も変化します。東京を例にすると8月が約14%、1月が約10%、で平均12%です。集成材は含水率を12±2%ぐらいにしており、また幅反りをなくするため木表、木裏を交互に組み合わせるなど工夫して可能な限り木材の寸法変化を少なくしております。
しかし最近、住宅の高機密化進み、暖冷房が一般的になったため、部屋の状態により含水率が5%程度まで変化することがあります。その結果、集成材といえども割れが生じることがあります。
このことは調湿能力を有する木材の宿命でもあり、特に断面の大きい部材において割れの生じる確率は高くなっております。しかし、強度的にみると木材は乾燥が進むにしたがって、強度は増加する性質を持っており、実験結果でも割れによって強度低下はみられません。 |

図:木材の含水率と収縮率 |
(2)表面のひび割れ
日当たりの良い箇所、ストーブの周辺等で木材の表面が急速に乾燥する場合、木材の表面に小さなひび割れが生じることがあります。これは木材の表面の含水率と内部の含水率の間に差ができ、それに伴う収縮率の違いにより生じるもので、この現象も木材の特性で避けられない一つです。 |
(3)色合いの変化
木材は経年変化に伴い表の色合いは変化します。一般には古代色に代表されるように木材の色合いの変化は珍重される場合が多いのですが、樹種あるいは手入れの仕方によっては汚れに近い感覚で取られることがありますので留意ください。 |
■ 正しい施工方法
(1)一般的な留意点
調湿能力を有する木材は含水率が高くなるとふくらみ、乾燥すれば収縮するのが特性です。従って施工にあたっては次の点に留意してください。
- 雨天時の建方はできるだけ避けてください。
- 防腐剤を加圧注入するなど防腐処理をした集成材を除き、常時水のかかるところや湿気の多い場所では使用しないでください。
- 枠材等の幅反り、割れ、ひび割れ、色合いの変化を避けるためと耐朽性を高めるには塗装が効果的です。しかし、これにより木材の特性の一つである調湿能力を低下させることにもなりますので、塗装剤の選択には十分留意してください。
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(2)雨天時に施工する場合の注意
やむをえず雨天時に施工する場合、あるいは施工中雨が降ってきた場合等は次の点に留意してください。
- 部材が漏れないよう急いで雨じまいをしてください。
- 事前にプレカット後の木工面に撥水性の塗装をすることが仕口の狂い防止に効果的です。
- 漏れた土台から柱に水分が移行することがありますので、含水率の高い土台は使用しないでください。
- 化粧ばり集成柱はシュリングおよび養生カバーがしてありますが、雨で漏れた場合は雨じまい後、カビが生じないようすぐに取り除いてください。
- 漏れた化粧ばり集成柱が急激に乾燥する段階で、表面と芯の部分の含水率の違いにより、表面にひび割れが生ずることがあります。これは木材の性質上避けられないことです。しかし、これによる木材の強度低下はありませんのでご理解ください。
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(3)集成材カウンター等の施工上の注意
集成材製品の中で最も寸法変化の影響を受けやすいのが集成材カウンター、フリー板等です。次の正しい施工方法の例を参考にしてください。
- 無塗装品を塗装する場合、裏面にも1回以上塗装し、表裏のバランスをとってください。
- モルタルなど十分乾いていない部分への施工は避けてください。
- 木工を塗装する場合は#180程度のサンドペーパーで仕上げてから木口塗りを実施してください。
- 現場での施工状況により、反り防止のため吸付き桟を45cmぐらいの間隔で取り付けてください。
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日本集成材工業協同組合
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